いわき創芸工房@オールドキリムとアジアの刺繍布

Posted by tribe on 2015年11月8日

秋も深まって来ましたが、紅葉(夏井川渓谷)も見頃な福島県のいわき市で展示会を行います。いわき市は海と山に挟まれた自然環境で、ここが東北?と思う程温暖な地域です。温泉も豊富で競馬馬が入る温泉なども有名です。

いわき市での展示会もかれこれ10回以上になるかもしれません。
展示会を始めた当初は、若々しかったギャラリー創芸工房のオーナーご夫妻も今は様々な経験を積み重ね、今ではベテランのギャラリーマネージメントをされています。

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展示会の案内状表面

会期:2015年11月14日(土)~11月23日(月)
a.m.10:30~p.m.6:30<会期中無休> 最終日p.m.5:00迄

会場:ギャラリー創芸工房

〒971-8141福島県いわき市鹿島町走熊小神山60-1
tel/fax 0246-29-3826 mail:info@g-sougei.com

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展示会の案内状切手面

遊牧民の手仕事展

<西・中央アジア遊牧民達の生活の道具として織られたキリムや絨毯を中心に機能・装飾・技法とが一体となり民族の美意識が表現された刺繍や衣装なども並びます>

いわきでは、望月真理さんという刺繍家が、ベンガル地方のカンタ刺しなどのコレクションの紹介とアジアの民族の針仕事を学ぶという啓蒙活動を続けてこられました。その影響もあってご自分で手仕事をされている方やアジアの布に造詣の深い方が多い場所のひとつです。

■11/14(土)14:00~遊牧民から学ぶシンプルライフ」映像とお話し<入場無料>お茶を飲みながら 遊牧民の生活スタイルからトライバルラグの模様と魅力などを紹介します。

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トルコ遊牧民の生活から Anatorian Nomad

遊牧民に学ぶシンプルライフ

東日本大地震以降、日本を北から南へ縦断し沖縄などに住んだ経験を持つギャラリーオーナーの意向で、『遊牧民に学ぶシンプルライフ』というテーマのレクチャーを行うことになったのですが、正直迷っています。
長い間遊牧民の手仕事には興味を持ち、これまでに様々な絨毯・キリム・布などを紹介してきましたが、実際に遊牧民と暮らした経験はありません。
何度かクルド族やバルーチ族の遊牧生活に触れることはありましたが、最低でも1ヶ月、出来れば1年は遊牧生活を体験しないと本当の遊牧民の生活スタイルは知りようもありません。
今回のお話はかなりの難題となりそうです。さっそく先人達の残した資料などを読みながら遊牧民の生活とは何かを調べたいと思います。特に日本語で書かれた資料が少ないのですが、松原正穀氏『遊牧の世界』松井健氏『遊牧という文化』は貴重なテキストと言えるでしょう。また、海外ではイランの遊牧民について世界中の民族学者と共にまとめ上げられたJon Thompson氏の『Nomadic Peoples of Iran』やトルコの遊牧民を長い間調査してこられたHarald Bohmer氏の『Nomads in Anatolia』が写真も含めて素晴しい内容です。
これらの資料をスライド共に紹介するのが精一杯ですが、イラン&トルコの毛織物を織る遊牧民がどのような環境で何の目的のために、気の遠くなる手の込んだ手仕事を施すのかに注目しながら、話を進めようかと考えています。

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2005年の創芸工房の展示会から

生活道具としての大型のオールドキリムの紹介

創芸工房は展示スペースの天井が高いので、大きく長いキリムや絨毯を展示することが出来ます。
今回も都心の会場では展示出来ないような、大型のキリムを持って行くつもりです。大型のオリジナルのキリムはこの仕事を始めた30年近く前にアフガニスタンなどから仕入れたものですが、都心の住宅には敷けるスペースがほとんどないため、長い長い間ストックとして倉庫に仕舞われていることが多かったものです。中二階の手すりからぶら下げると4m近い長さのキリムや布が展示出来るのも今回の展示会の楽しみの一つです。

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2005年の創芸工房の展示会から

移動生活という必要最低限のモノしか所有できない遊牧民達が、どうして持つのが大変なほどの大型で手間のかかる毛織物を織るのか?今でもその疑問の答えは出ていません。今回は実物を見ながら、長い間自然環境と共存してきた伝統の残る東北の人達と共に、「ヒトの生活に最も必要なのは何なのか?」を考えるきっかけになれたらと思っています。

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2005年の創芸工房の展示会から

日本全国から、皆様のお越しをお待ちしています。

参考資料:『Nomads in Anatolia』HARALD-BOHMER著