最もプリミティブな布 ムブディ族のタパクロース

900DSC_0359tapa3

Goods(モノ) - 部族の手仕事

アフリカの布の「ギャラリーページ」をオープンしました。その中から代表的な布たちを順次紹介してゆきたいと思っています。
まずはアフリカンテキスタイルの中でも最もプリミティブなムブディ族のタパクロス(バーククロス)と呼ばれる樹皮布を紹介します。タパクロスといえば南太平洋の島々のタヒチ、フィジー、トンガ、サモアなどが良く知られていて、東ポリネシアの土着の言葉が語源のようです。世界的にはアフリカ、南米などにもタパクロス(樹皮布)が残されていますが、特にムブディ族のタパは自由奔放な一筆書きの線がプリ見てイヴながら、芸術性が高いと評価されています。

DSC_0456tapa13
アフリカの布 ムブディ族のタパクロス

アフリカの布 ムブディ族のタパクロス(Tapa cloth)

狩猟採取の民の樹皮布(タパクロース)
俗称ピグミーとも呼ばれるアフリカ中部に暮らすムブディ族は、コンゴを中心にルワンダやカメルーンまでの広い地域が生活テリトリーです。森の民として知られるムブディ族は、熱帯雨林のジャングルを移動し、森や川から食料を採取するという自然に優しい暮らしを続けて来た人々です。最近では人口が激減していますが、彼らの生き方はヒトが長い長い間、シンプルでモノをあまり必要としない暮らしを続けていたことを思い出させてくれます。

DSC_0366
アフリカの布 ムブディ族のタパクロス

樹皮をのばして布にする

この樹皮の布が19世紀にヨーロッパに紹介されたころ、プリミティブアートがパリやジュネーヴでブレイクし、ピカソやクレー、マチスなどのアーチスト達にアフリカンアートが多大な影響をあたえた時代と重なります。

ムブディ族のタパに使用される材料は、Mulumbaまたは、Pongaと呼ばれるイチジク科の樹皮で、それをただひたすら叩いて薄く延ばしたのが樹皮布です。適当な大きさの樹皮は表面を削いでから、象牙や骨などの槌で丹念に叩かれます。この作業に二日ほどかかるらしく、その後5~6日間ほど乾燥させてから装飾を施します。この自然乾燥は大切な工程で、乾燥が十分でないと後で布の上に描かれる染料が滲んではっきりした線が描けないようです。ここまでの作業は樹皮布を作るした作業です。

指などで模様を書く

十分に乾燥された布は、指や自家製の筆などで大胆に装飾されますが、太い線は指で、細い線は植物の茎か小さな棒で描かれます。染料はKanga、Ebenba、Tatoなどと呼ばれるザクロに似た果物の汁に木の活性炭の粉を混ぜたものが使われるようです。フルーツジュースを消し炭に混ぜ込むことで、染料の定着性をよくし、雨などの水に流れないようにするようです。部族によっては、生地となる樹皮布自体に着色し、こげ茶色の生地として、白地と組み合わせたりして用いることもあるようです。

DSC_0470
アフリカの布 ムブディ族のタパクロス

布に籠められる創造と記憶

装飾に施された布は、踊りや特別の儀式に着用されますが、子供達は小さいもの、中ぐらいは女性、大きいものは
男性用となり、1.5mを越える大きい布は彼らが信仰する特別な神への儀礼として崇拝の念を示すために使われることもあるようです。
創造力にあふれる表現は、様式化された文様にはない自由さと勢いに溢れ、彼らの生活支える様々な生きていくための知恵の記憶が生き生きとした創造性を生み出しているようにも感じられます。古代から続いてきた、人が生きていくための何が必要であるのかを、メッセージとして残しているかのようにもみえます。

tapabook
「タパ・クロース」の世界 菊岡保江 小網律子共著 

参考資料:Pygmys Pictorial Art On Bark Cloth ミューラー美術館の図録より引用
「タパ・クロース」の世界 菊岡保江 小網律子共著 源流社

執筆者:T.Sakaki