4年に一度の絨毯好きの集い ICOC 国際じゅうたん会議

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Infomation(コト) - テキスタイルニュース

絨毯マニアのW杯じゅうたん会議

今年で13回を迎えるICOC国際絨毯会議はオーストリアのウィーンとブタペストとハンガリーで共同開催されました。
欧米のトライバルラグやテキスタイルの流通を支えてきたのは、活発なマーケットの動きだけではなく、大学、美術館、ラグソサエティ、出版関係者、研究機関などなど、ラグやテキスタイルの本質や背景を調査研究する機関や個人が存在し、流通現場と連動しながら活動を続けてきたからだと言えるでしょう。
その中心的な存在であり、3〜4年に一度ヨーロッパと北米を交互に開催されるフットボールのワールドカップのようなお祭り的なイベントが「国際じゅうたん会議(ICOC)」です。
1976年にイギリスのロンドンからスタートし大陸間を行き来しながら13回のウィーン&ブダペスト会場まで続いて来ました。今回はそのICOCの活動と参加の仕方などについて触れてみたいと思います。

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第13回ウィーン&ブダペスト開催ICOC

絨毯好きのすべてがそろう夢の内容

国際じゅうたん会議は展示とレクチャーという二つの柱から成り立っていますが、会議に合わせて数年をかけて世界各地から集められるテーマ性を持った展示品と世界中の研究者やコレクターによる30を超えるの研究発表が会議の中心的な内容となっています。同時に60名を超えるマニアックなディーラー達の展示販売会やその年の会場となる都市の美術館や歴史的遺産などへのツアーも用意されています。会場となるホテルや歴史的建物内にも、パネル展示やその地域を代表するテキスタイルなどが展示されています。例えば私が参加した第11回イスタンブールではトルコで織られた代表的なキリムやオスマントルコ時代の豪華絢爛な絨毯が当時さながらにオスマン朝時代の宮殿に飾られていました。

また何よりも楽しいのは、参加する人々が絨毯やテキスタイルの愛好家や研究者なので、参加者の誰とでも絨毯の話題で意気投合し、各々の持つ専門的な知識や経験談が直接聞ける事です。絨毯好きにとっては、見るもの聞くものすべてが垂涎もので、最高に楽しむことのできるイベントです。

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世界各地のテキスタイルの展示

エッ!驚きの参加費用?

2007年のイスタンブール開催の参加で少し驚いた事がありました。それは参加費用の高さです。当時1$=110円程度のレートでしたが3月前の参加だと$525=¥58000、4ヶ月前〜の予約だと$450。半年前〜$350。申し込み時期によってかなり違うのです。もちろん宿泊費・イスタンブールまでの交通費は別になります。大まかに計算しても¥200,000くらいはかかってしまうでしょう。ぎりぎりまで参加を迷いましたが、仕入れで出かけるイラン往復の際のトランジットでイスタンブールを経由する事で、旅費を節約し、なんとか決断した事を記憶しています。

その時思ったのはこの費用でどのくらいの人が集まるのか?という事でした。

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第11回イスタンブール開催のICOC

夢の中のような4日間

胸を躍らせて参加してみると、何と2000人以上の参加者で会場のホテルは賑わっていました。初めてのアジアでの開催という事もあり参加者のテンションもあがり、開催国であるトルコもこの時とばかりに最大限の貢献を約束していたようです。
もちろん世界中から絨毯研究家やコレクターがあつまるのこのタイミングはビジネスにもビックチャンスが訪れるわけです。会場となったスイスホテルボスポラスのレクチャー会場や販売ディーラーが集まる大広間はどこも満員でしたし、人気のあるレクチャーには200もある会場の座席が満杯で立ち見での参加もある程の賑わいでした。詳しい内容はいのブログでも紹介してゆきますが、どれもが驚きの連続でした。

まず$525ドルという価格にもかかわらず、正規の申し込み者がこれほどまでに多多いという事実です。ただ絨毯を見て、絨毯やアジアの歴史を学ぶのにこれ程の費用を払うということは日本では考えられないでしょう。1976年の記念すべき一回目は100名程の研究者が大学の教室に集まってスタートしたようですから、開催者側の30年の努力がいかに素晴しく、またその活動を支える絨毯好き達の存在がこの国際じゅうたん会議を盛り上げてきた事が窺い知れます。すべてに圧倒された、夢の中のような4日間でした。

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イスタンブールのオスマン時代の建造物 ドルマバチェフ宮殿

当初懸念していた参加費用の事などまったく忘れてしまいました。ICIC国際じゅうたん会議はまさにワールドカップのような夢の祭典です。

執筆者:榊 龍昭