室内環境と絨毯の関係とは?その1

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Guide(ガイド) - 住まいと絨毯

絨毯が室内環境にのどのような影響を及ぼすかは、多くの人にとってとても気になる問題といえます。例えば自分の家に絨毯を敷くとなった場合、ホコリやダニなどから発生する(と言われている)ハウスダストが原因によるアレルギーの問題や、硬い毛だったら寝そべった際に痛くはないのか、掃除が大変じゃないのか。。。などなど気になる事が多いですよね?
ところが伝統的に羊毛製の絨毯がほとんど存在しなかった日本では、そのあたりの情報公開がかなり遅れてしまっていると思います。

室内空気環境の専門家として、東京理科大学で教鞭を取りながら国立保険医療科学院に34年間勤務された吉澤晋先生に伺いました。吉澤先生は趣味として鍋島や赤穂など日本の手織り絨毯のコレクションをされてました。開口一番「絨毯が室内環境に及ぼす影響を説明するのは難しい事です。」と言われました。
この50年間に健康そのものに関する考え方が変わり、シックハウスなどの住空間が健康に及ぼす影響が大きな問題になると、絨毯を敷くことによる室内環境への影響とそれが人の健康にどのような関わりがあるのかを改めて考えるべき時期にきているといいえるのではないでしょうか?。

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スエーデンハウスと北欧家具にキリム

絨毯の環境への影響とは

現時点で手織り絨毯が室内環境に与える影響を専門に研究している人は少なく、不明な部分も多いようですが、主には下記に上げたような事が考えられます。

「精神的満足感・遮音性・肌触り・温度環境への影響とホコリ、ダニやカビなどのハウスダストの人への影響等、があげられるでしょう。」

1.「精神的満足感」は好み、ステータス心、優越感などという心の問題です。

2.「音」の問題はわかりやすく、絨毯には室内の吸音効果と、階下への遮音効果が期待できます。絨毯を敷くと室内の反響を抑え、騒々しさが低減します。またこのところ流行しているフローリング床は、マンションなどでは下の階に音が響きやすいですが、絨毯を敷くと衝撃音が和らぐ効果が期待できます。この問題は「精神的満足感」の件とも関連してきます。

3.「感触」ですが、家の作りは欧米化しても靴を脱いで生活する日本人には大切な環境と言えます。フローリングの上でで生活している分に特に問題はないのですが、感触となると何か敷きたくなるものです。

4.「温度環境」は部屋の温度だけではなく、壁や床の温度とも関係してきます。夏の暑い時は壁が冷たいと気持ちがいいですが、冬の寒い時にはカーテンの防寒性は重要です。絨毯を冷たい床に敷くと床の温度は温かくなりますが、温度差による結露などが生じた場合カビなどの問題が起こる可能性が考えられます。これは地下の温度が伝わりやすい1階の場合にのみ起こりやすい現象です。

絨毯を敷くとカビの発生原因になる?

空気感の温度差により結露が発生する事があります。最近は結露対策が施された窓が増えてきていますが、床にも結露がおこる場合があります。

私もかつては「乾燥した冬にカビが生える事は無いだろう」と思っていたのですが、、断熱性が高く通気性が良い羊毛の絨毯と、冷たい床の間に結露が発生していて驚いたことがあります。床面の温かい2階以上では問題がないそうですが、1階で路面や地下から直接冷気が伝わる床面では冬にカビが生えるという不思議な現象が起きてしまう事があるようです。家では床下に電気カーペットを敷き、「冬場に時々床と絨毯の間を暖める」ことなどで解決しました。

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大谷石の床にキリム

1階で地下から冷気来る家の場合長い間敷きっ放しにしには気をつけた方が良いと思います。他でも紹介しましたが、寒い東北などで大型で分厚い中国緞通を何年も敷きっぱなししておいて畳と絨毯の間にカビが生えてしまうのは結露も原因の一つと考えられます。

湿気の多い日本では羊毛製の絨毯とが室内環境にどのような影響を及ぼすか、大切なテーマだと考えられます。日本の住空間の急速な西洋化で、内と外の区別がはっきり分かれた気密性の高い住居に住まう方が増えています。構造のまったく異なる伝統的日本家屋に住んでいた頃の記憶や習慣を現代にどのように適応させていけるかが問われているようにも思えます。
これは床の間や襖や屏風などの美的しつらえが居住空間にしっかりと根付いていた、「和の家」から無機質な床・壁・天井の「洋風の家」への移行と言い換えられるかもしれません。

つづく

執筆者:榊 龍昭