今年こそ「トライバルラグ」がブームに!?

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Infomation(コト) - コラムその他

2016年が始まりました。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
昨年後半は地方各地での展示会が続き、ブログの更新は展示会の紹介ばかりとなってしまいました。
今年こそは充実した、トライバルラグ&テキスタイル関係の情報を紹介してゆきたいと思っています。

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ベルベル族アトラス山脈高地のトライバルラグ

一人でも多くの人にトライバルラグの魅力を知って欲しい!

この2〜3年は都心にある個性的なセレクトショップやインポートブランドのショールームのディスプレイに、トライバルラグが飾られることが増えてきたように感じます。今後はディスプレイではなく、一般家庭や職場などの生活空間にトライバルラグを使って欲しいと願っています。

日本ではそもそも専門店がほとんど存在せず、それ他のギャラリーやオークションハウスなどでトライバルラグを見る機会も乏しく、ネットなどの画像でしか情報を得ることしかできないという現状が続いています。
専門サイトも少ないため情報も混乱しがちで、多くの人にとって絨毯というものは未だに理解しづらく、価格などもわかりにくいアイテムになっていると思われます。トライバルラグの背景にある豊かで奥深い世界を知るためには、そのベースとなるわかりやすい分類の仕方がが必要です。

これまで東洋の絨毯は生産地で分類されることがほとんどでした。絨毯が織られる主要な産地が広大な地続きのユーラシア大陸なので、時代により統治者が変ったり、織り手の多くが移動する遊牧民なために、地域分類という方法は混乱を招きやすいのです。手織り絨毯に興味を持って研究や情報収集をしようにも、複雑であきらめてしまう人も多いはずです。

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Jon Thompson氏、アメリカの名門ラグソサエティHajiji Baba Culbより

このブログでも何度か紹介しているJon Thompson氏はそのような地域別分類に頼らず、織られたときの状況の違いに応じて4つのグループに分類するという手法を考えました。

オックスフォード大学で行われている絨毯学を学ぶ

Jon Thompson氏は「織り手の立場」から、以下の4つのカテゴリーに分類しましが、この分類は織る人の思い入れや、おかれている立場を理解することにも繋がります。

1.部族の織りと生活用の織物
2.村のコテージ生産(売りもの用の絨毯)
3.都市工房または町工房の絨毯
4.宮廷絨毯

Jon Thompson氏によれば上の4つのグループは、技術を獲得してきた順番に並べてあるそうです。
技術的な側面から見ると、母から娘へと伝えられる伝承の織り物から正確な指示書(下絵)のあるプロの織り手へという進歩がみられると言い換えられるかもしれません。(4番目の宮廷絨毯を除いて)
絨毯技術の進化は、部族絨毯=トライバルラグ〜村のコテージ絨毯〜都市工房の絨毯へと進歩していったというのが彼の基本的な考え方です。

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1983年出版されたCarpet Magic

実際に存在している絨毯のすべてを、彼の分類するカテゴリーにあてはめるのは無理があるかもしれません。例えばお持ちの絨毯が、どんな人達によってどんな状況で織られたモノなのかを知るのには、とても役にたちそうです。
Jon Thompson氏もこの分類方法は、『目の前にある絨毯がどのようなものかを理解するためのヒント探しをするのに役立ち、重要なのはその絨毯がどの分類に相当するのかを「知ろう」とすることで、分類に完璧にあてはめることではない。』と述べています。さらに『これは絨毯の見方を提供しようとするもので、勉強を助けるための枠組みである。読者は自分の中に充分な知識を蓄え、観察経験を積んだ後で、自分自身の納得のゆく分類を考案できる。』とも付け加えています。

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トライバルラグを代用するシャーセバンゾゾクのスマック織り

絨毯を知ると世界が広がる?

このブログに関心をよせていただいてる方々、おそらく絨毯に関心をお持ちで絨毯、キリム、ギャッベ、布などを所有されていらっしゃるかもしれません。またどこかで見たりしたテキスタイルに興味をお持ちかと思います。
それらがどこで織られたものか?おそらくご存知のことでしょう。今度は是非そのモノがどんな状況で織られたものかを想像してみて下さい。

◆遊牧民が生活の道具として織ったものなのか?
◆村に定住するする人が家族のために織ったものなのか?
◆村や町の工房で、商業的な目的て織られたものなのか?
◆宮廷工房で王様のために織られたものなのか?
◆婚礼を控えた娘さんが未来の家庭を夢見て織ったものなのか?

Jon Thompson氏の本はこうした絨毯を織った人の立場から、絨毯を考えてみようという試みです。

今年は絨毯を知る「ものさし」としてもためになる、この本をじっくりと紹介してゆきたいと思っています。本年もどうぞ宜しくお願いいたします。

執筆者:T.Sakaki