「織りの構造から見るトライバルラグ」@谷中エスノースギャラリー 平織りの構造とは?

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Infomation(コト) - 展示会・イベント

1月31日まで台東区谷中のギャラリーで展示会を開催しました。
このところ、テレビの情報番組などでもちょくちょく紹介されてる谷中ですが、庶民的で味のあるお店や飲食店が人気のようで、外国人観光客も増え、週末には年代や性別を超えた人々で賑いを見せています。昨今の世相を繁栄してなのか、おしゃれなブランドのショールームが並ぶ表参道や青山とは違った、気楽な雰囲気が受けているではないでしょうか?今年最初の展示会は、そんなほっこりとする町、谷中からスタートです!

会期中織りの構造を知るワークショップも行います。
詳しくはこちらまで 090-9133-9842 榊

〜織りの構造から見るトライバルラグ〜

会期:1月31日(日)まで営業時間 11:00 – 19:00  ※25日(月)定休
会場:東京都台東区谷中3-13-6 Tel 03-5834-2583 / Fax 03-5834-2588
http://ethnorthgallery.com/

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織りの構造から知るトライバルラグの内容

このところ大人気の町谷中で、3年程前からアジアやアフリカの手仕事関係の展示やイベントを開催しています。エスノースギャラリーさんにて「トライバルラグの織りの構造」をテーマにイベントします。
トライバルラグやキリムに興味を持たれるお客様の中に、ご自身でも織り物をされている方が多くみうけられます。ほとんどが女性なのですが、様々な織り技法を習得し、教室を持って教えておられる方、何年もかかって緻密な絨毯の大作を織り上げた方にもいらっしゃいました。今回はそんなトライバルラグの構造と技法に詳しい方々の協力を得ながら、ワークショップや実演を含めた展示会を行うことになりました。

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パキスタンの荒野でキリムを織るブーラフィー族の母と娘

織りの技術は真似しない!

この展示会を行うにあたって、いくつか困ったことがありました。そのひとつは自分自身で一番苦手な分野が織り物の構造や組織図だからです。お客さんにはもっともらしく「これは綴れ織り(キリム)です。」とか「これはジジム(縫い取り織り)です。」とか説明はしてきましたが、はたして自分で織となる相当に難しいことを実感していました。織り物の先生に頼んで実際に織ってみたこともありますが、あまりの複雑さと手間がかかるので、途中で投げ出していました。イラン人の修復師からも修復の手ほどきを受けたこともあるのですが、何度も途中で挫折してきたのです。
そんなわけなので、今回の展示会で本当にトライバルラグを技法ごとに分類して展示することが出来るのかどうか不安した。でもトライバルラグを部族ごとに分類するのにどうしても織りの構造の知識は必要なのです。
その理由のひとつは部族ごとに得意の織り方があり、織り方を分析すれば部族が特定できる可能性が高いからです。織り物の技術の多くは母から娘へと伝えられるため、同じ部族や家族間では共通した織り技術の伝承されるのが自然です。文様は真似することが容易ですが、技術をまねることは難しいのではないかと思われます。
今回は織り技法から見えてくるトライバルラグの特徴や民族性などを紹介したいと思っています。

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ホラサーン地方カラート周辺のクルド族のキリム(綴れ織り)

言語と織り技術は母から子供へ伝わるのでしょうか?

今回の試みとして、トライバルラグの技法からどんな部族が織ったものかを見分けることができるかを試してみたいと思っています。例えばトルクメン族はパイル=絨毯が、シャーセバン族スマック織りが、バルーチ族は紋織りが得意なようで、それぞれに独自の創意工夫が見られます。パキスタンのブーラフィー族の毛織物は僅かな例外を除いてほとんどが紋織り技法が使われます。バフティヤリー族のサドルバックに見られるように、機能によって様々な技法を使い分けることもありますが、ほとんどの部族は得意な技法を保持しているように思います。生活のなかで毛織物が必要不可欠な遊牧民達は、幼少のころから織りを習い始めますが、技法は母や祖母などの家族から習うので、その部族に伝わる技術が守られて来たのではないでしょうか?
部族間の交流もあるので文様は他の部族のモチーフを取り込むことはあるようですが、昔は学校に通うこともなく一生を遊牧生活で過ごしたいた遊牧民の女性達は、織りの技術を家族以外から習うことの少なかったではないかと思います。

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高い織りの技術を持つバルーチ族の毛織物

部族に伝わりる様々な織りの技術とウィーブバランス

第一回目は様々な平織りについてです。

1.織りの構造パネル平織り-2
2.織りの構造ジジム
3.織りの構造スマック-4
4.織りの構造紋織り

まとめ

1.平織り タテ糸が表にくる織り物 ヨコ糸が表にくる織り物

2.綴れ織り スリット(はつり)がある スリットが出ない(インターロック)

3.縫い取り織り(ジジム) ジジム織りのバリエーション  ジリ織り

4.スマック織り(巻き取り織り) プレーンスマック カウンタースマック

5.紋織り ヨコ(緯糸)表の紋織り タテ(縦糸)表の紋織り

以上以外にも様々な技法(カード織り、もじり織り等々)がありそれらを適材適所に巧みに使いこなすのが遊牧民です。

遊牧民の織り物特徴として織り機が単純で原始的という特徴がありすが、これは織り機自体を持って移動しなくてはならないという遊牧民の宿命です。織り機はシンプルですが、緻密で凝った織り物を織るのも遊牧民の技です。それには職人のように子供の頃から何枚も織物を織り上げてきた経験と感が幾重にもに重なりあっているように思われます。そしてタテ糸とヨコ糸の緊張関係(ウィーブバランス)が何よりも見事だと感じます。この経験と伝統が凝縮して織り込まれたているのがトライバルラグの魅力のひとつです。

参考資料:Shahsevan parviz Tanavoli著 Woven Structures Marla Mallet著
Kilim-Cicim-Sumack Belkes Balpinar著 シルクロード織機研究 シルクロード学研究所

執筆者:T.Sakaki