憧れのHALI FAIR  〜7/5までオンラインイベントが無料で見られます!〜

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Infomation(コト) - テキスタイルニュース

このブログで紹介しようと思いつつ、会期が終わってしまうかと気を揉んでした『HALIFAIR』が、7月5日まで延期されることになったようです。

この度、HALIフェアオンラインは、皆様からのご要望が多かったため、2021年7月5日まで延長することになりました。
HALIフェア・オンラインでは、フェアや関連展示会、イベントに登録なしで無料でご参加いただけます。
7月5日までの期間中、世界で最も尊敬されている35の専門ディーラーが、それぞれのバーチャルブースからオンラインでコンタクトを取ることができ、ユニークな作品を発見・入手することができます。アフリカ、南米、インドネシア、ヨーロッパ、中央アジアの衣装やテキスタイル、イラン、トルコ、モロッコ、チベット、コーカサスなどの結び目のある絨毯やキリム、その他関連する工芸品などをご覧いただけます。
また、HALIアーカイブからの記事の抜粋、最新のデジタル夏号の閲覧、HALIブックショップでの10%の購読者割引コードの利用、7日間のオンデマンドで提供される様々なトピックのイベントの視聴も可能です。
詳細は www.hali-fair.com をご覧ください。

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オンラインセミナー(EVENTS)は特に充実していますので、お時間のある方は特にお勧めです。イベントの内容はFAIR,EVENTS,EXHIBITIONSの3つに分かれています。

FAIRは35名のディーラーやコレクターによる展示会。

EVENTSは3つのオンラインイベントとオンデマンドでも見られる4つの合わせて7つのレクチャー。

EXHIBITIONSは「遊牧民のアート」と「パンジャブ地方」の刺繍の紹介です。

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HALI FAIR オンラインイベント オンデマンド

特にEVENTSのオンラインセミナーは大充実で、滅多に聞けない貴重な情報が満載です。
内容はモロッコの刺繍、イランの伝統的ローブ(王様の衣装)、ジョージアのキリム、パンジャブのプルカリ、モロッコベルベルのプリミティブなラグ、などなど。。。
どれも充実した内容です。メインの3つのセミナーについて簡単に紹介いたします。

●Moroccan embroideries – a private collection in Rabat 

『モロッコの刺繍』 <ラバトの個人コレクション>

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モロッコ刺繍のインタヴュー

2001年、Khalid El Kholtiは、インテリアとしてモロッコの伝統的なドアを購入し、その上にかける伝統的なモロッコのカーテンを求めた。
彼が買った19世紀の刺繍カーテン(モロッコのアラビア語でイザール)は、彼や彼の家族が予想していたよりもはるかに大きなものの始まりとなった。
エル・コルティのモロッコ刺繍コレクションは、現在約400点にのぼり、V&A、メトロポリタン、ケ・ブランリーのコレクションに匹敵する、世界で最も広範で包括的、かつ代表的なコレクションのひとつとなっています。
カリッド氏は、7つの都市から集められた14枚のモロッコの刺繍入りテキスタイルを紹介し、これらの美しい家庭用繊維が、もともとモロッコの都市部の家庭でどのように使われていたかを解説します。
(詳しくは、HALIマガジン200の記事をご覧ください。)

Speaker:KHALID EL KHOLTI

花卉園芸家としての経験を持ち、モロッコから花を輸出する仕事を始めました。
今では、刺繍のこと以外は、モロッコのゴルフコースを中心に仕事をしているそうです。
彼の理系のバックグラウンドが、刺繍を収集し理解するためのアプローチに影響を与えていることは明らかであり、それは科学的でもあります。
現在のモロッコの首都であるラバトに何世紀にもわたって縁のある家系に生まれた彼は、地元の刺繍の伝統に特に情熱を注いでいます。

*日本ではフェズ刺繍として紹介されていますが、モロッコ北部地方の様々な地域で伝統的に施されて来た、素晴らしい刺繍のコレクションを見ることができます。
432点の中から厳選された刺繍布には驚かされました。
刺繍好きの人はもちろんそうでない人にもおすすめの画像です。

●Robes of honour – hidden treasures from Iran By TIM STANLEY
『イランの秘宝、名誉のローブ』

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イランのローブの系譜

イランでは、宮廷関係者や著名な訪問者に栄誉の衣(ケルアト)を授与する習慣が古くからあり、少なくともササン朝時代(AD224-651)には記録されています。
その後、アッバース朝(750〜1258年)のイスラム教のカリフに採用され、その後、中東のすべての王朝からイランのカージャール朝(1789〜1925年)まで採用されました。
名誉の衣の提供は、独特の模様が求められる高級織物の生産にとって、デザインも含めて非常に重要な原動力となっていました。
しかし、実際のローブの現存数は少ないのが現状です。
本講演では、V&Aの「Epic Iran」展(2021年5月29日~9月12日)で展示されている2つの名誉の衣(1つはオリジナルの形、もう1つは教会の法衣として再利用されたもの)を中心に紹介してます。

Speaker:TIM STANLEY
2002年よりロンドンのV&Aで中東コレクションのシニア・キュレーターを務める。
入館以来、巡回展「宮殿とモスク」(2004-6年)、「世界の陶磁器傑作展」(2008-9年)、ジャミールイスラム美術ギャラリー(2006年開設)、セラミックギャラリー(2009-10年開設)、2009年に創設されたジャミール賞の5回分の受賞などに携わってきました。ティムは、イランとトルコの写本と装飾美術を専門としています。

*イラン西部のケルマンシャーにあるササン朝時代の「ターゲボスタン」遺跡。このレリーフに登場する王様が身につけたローブに刻まれたササン錦の連珠紋。
かつて訪れたことのあるこの遺跡を思い出しながら、興味深く聞きました。イスラム教になっても王様の身につけるローブの系譜がイランの織物に与えてき影響を窺い知ることができます。

●Tushetian kilims – flatweaves from the mountains of Georgia By DR IRINA KOSHORIDZE
ジョージアの山間部で作られた平織物「トゥシェティアン」のキリム

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ジョージア(グルジア)の綴織(キリム)

トビリシにあるジョルジ・キタイア野外民族学博物館と3つの個人コレクションのアーカイブから、貴重で印象的なグラフィックの平織物を特別に紹介します。
ほとんどが染色されていない黒と白のウールに、装飾的な色のハイライトを散りばめた、ほとんど権威主義的な構成と制限された色調は、トゥシェティアン(またはトゥシュ)の平織りを象徴しています。
1920年代から1930年代にかけて、故郷の山岳地帯の高地から谷間に移住した彼らは、近代的な商品が手に入るようになり、「フォークアート」と呼ばれる伝統が衰退し、単純化されるなど、ライフスタイルが劇的に変化しました。
Tushetian(タシェティアン)のキリムは、当時の視覚的言語の変化を最も明確に示す方法の一つです。現代のTushetian(タシェティアン)の織り手のドキュメンタリーを見る。

Speaker:IRINA KOSHORIDZE
グルジアのトビリシにあるグルジア国立博物館の東洋コレクションのチーフ・キュレーターであるコショリゼ氏は、トビリシの民俗・応用芸術博物館の元館長でもあります。1990年代には、トゥシェティアンのキリムについて博士論文を書き、現在はそのテーマで本を執筆中。

*これまでほとんど知らなかったジョージア(グルジア)の綴織(キリム)。黒が貴重になったシックな色彩の中にジョージアの歴史的背景を見ることが出来るかもしれません。
黒山羊の毛で織られた男性の民族衣装と共通する美意識も感じました。

どれも大充実の内容です。週末は天気も悪そうなので、お家でロンドンからの最先端のテキスタイル&ラグのお勉強をしたいと思っています。

参考資料:HALI mgazine hali Publication http://www.hali.com/

執筆者:T.Sakaki