あなたのラグは大丈夫? What is Vintage rug?  〜ヴィンテージラグってなに?〜

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Guide(ガイド) - 住まいと絨毯

What is Vintage rug?ヴィンテージラグってなに?

ここ2年ほどでSNS(インスタグラム)でヴィンテージラグと呼ばれる絨毯を目にする機会が急激に増えたように感じます。
絨毯文化の成熟した欧米のウェブサイトで見つけた記事を基に、最近のヴィンテージやトライバルラグと言う名前で販売されているラグについて考察してみます。
多くはTribal Collections Nomadic Rugs & Textilesというウェブサイトのブログからの引用です。

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Tribal Collections Nomadic Rugs & Textiles

あくまでもラグを選ぶのはあなたなので、用途によっては加工したラグでも問題ないと思う方も居られるでしょう。
もしあなたがラグを選ぶ際に迷れた場合、その参考になれば幸いです。

あなたのラグは「ヴィンテージ」?それともただ古くてみすぼらしいだけ?

ここ数年「ヴィンテージラグ」は、ホームデザインやソーシャルメディアのファッショニスタの間で、最新の流行としてもてはやされることがあるようです。
日本でも古びたラグ全般を「ヴィンテージラグ」と呼ぶ傾向があります。
ところがこのところ質の悪いラグ全体を大胆に現代的な色で「オーバーダイ」したり、古いラグやキリムを切って「パッチワークラグ」にしたり、あるいは酸による漂白でラグを「人工的に苦しめ」たり、または機械でパイルを刈り取って「人工的に禿げた状態」に見せるラグをたくさん見かけるようになりました。
多くのインテリア雑誌やインスタグラムのページを飾る人気のソフトな「ヴィンテージルック」に変身させたりしています。

肯定的に考えれば、この新しいスタイルは、ひどく擦り切れて色が弱くなったラグやキリムを再利用するものであり、かつてはあまり愛されなかったラグがリメイクされるようになったことは、それ自体が持続可能があると言えるかもしれません。

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googleでヴィンテージラグを検索すると出てくる画像

なぜここでこのトピックを取り上げるのか?

長い長い間ラグは主に遊牧民の女性達によって織られていました。
その優れた技術は、多くの国で消滅してしまった織物文化を代表するものであり、それに伴って複雑な織り、染色、デザインの技術も失われてしまいました。
真の「ヴィンテージ」や「アンティーク・ラグ」は、漂白されたり、色あせたり、悩まされたりするのではなく、複雑なニュアンスのある色と、何年も使用されたままの状態で、素晴らしく生き生きとしています。
そこで「ヴィンテージ」とそうでないものを見分ける方法と、「ヴィンテージ」ラグを購入する際に注意すべき点をご紹介します。

現在の「ヴィンテージ」ラグやキリムのトレンドについて、5つのポイントをご紹介します。

1. 人為的にディストレストされたラグやオーバーダイされたラグはヴィンテージではありません。

人為的にディストレス加工*されたラグは、オリジナルのラグの本質、つまり時間をかけて織られた伝統の完全性が大きく変化しています。
ご希望の外観に応じて、外観を均一にするためにパイルを根元まで刈り取ったり、硬い金属スクレーパーを使って元々の青々としたパイルを減らし、全体的に摩耗した「ディストレスト」な状態にすることで、ラグの老化プロセスを人為的に加速させます。このプロセスは、ラグにダメージを与え、弱くしてしまいます。キリムの場合は、過酷な化学薬品を使わずに、色のついた染料の中に浸すだけなので、このプロセスはそれほど厳しくありません。

このように、何世代にもわたって使い続けられるように手作りされたラグは、その品質と完全性を奪われ、せいぜい数年しか使えず、「ヴィンテージ・ラグ」というよりも、現代のファッション・アイテムになってしまいます。

そして、もしあなたが、ディストレストされたヴィンテージラグやキリムを、その現代的な外観のために愛用しているのであれば、その理由だけで、この先は読まずに、この楽しいヒップな現代的外観をあなたの家で楽しんでください。

*「ディストレスト」とは英語(distressed)で、困窮している、苦しんでいるといった意味で、人口的にラグにダメージを与えること。

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ダメージ処理「ディストレスト」されたラグ

2. パッチワークラグにはヴィンテージの価値があるのか?

パッチワーク・ラグやオーバーダイ・パッチワークを作るには、新旧さまざまなオリジナルのラグやキリムの断片を小さな形に切り取り、さまざまな「パッチワーク」デザインで縫い合わせ、それを布で裏打ちしてラグを形成します。パッチワークラグは、よく「織りの歴史や伝統的なデザインの断片」が入っているラグだと言われますが、これは本当のことかもしれません。しかし、これらの断片を切ったり縫い合わせたりする過程で、一般的には歴史的、伝統的な価値はなくなり、現代的な装飾的価値しか持たないラグになってしまいました。

ピカソの絵を切り刻んでパッチワークの絵に作り変えたようなものです。パッチワークのラグはリサイクルには適していますし、もちろん楽しくて現代的ですが、これらのラグは再構成されて本物のラグではなくなったという事実を反映した低価格で販売され、そのまま楽しむべきです。

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オーバダイ(重ね染め)や切り刻まれた絨毯を繋いだラグ

3. 本当にヴィンテージなのか、それともただのボーホー・ファンなのか?

古くてみすぼらしい廃棄ラグが、美しいハンドメイドの「ヴィンテージ」逸品として売られていることがあります。
実際には多くのラグが、単に使い古されたり、ほつれたり傷んだりして、床の上で数年しか装飾できないような平均的なラグなのです。
誤解しないでほしいのですが、「使い古された」ラグは様々な意味で本当に美しいものです。
しかし、貴重な断片と、「ヴィンテージ・ボーホー」の宝石として売られている質の悪い使い古されたラグには大きな違いがあります。

例えばシャビーなラグがインテリアアイテムとして数百ドルで売られていて、あなたがそれを気に入ったのであれば、そのラグを購入して、ゴージャスなボーホー・シックの作品を楽しむのが良いと思います。
しかし、ひどく擦り切れたり傷んだりしたラグや数千ドルで売られている断片は、それが本当に「ヴィンテージ」であることを確認できる信頼できるアンティーク・ラグのディーラーから購入するのでなければ、避けた方が良いかもしれません。

*ボーホーとは?

そもそもBoho(ボーホー)とはボーホーは、実は造語だそうです。
ボヘミアンとソーホーを掛け合わせて”ボーホー”。ボヘミアンは、チェコの西部から中部エリアに住んでいる民族のこと。
社会の習慣に縛られず、芸術などを志して自由気ままに生活する人たち。エスニックや、エキゾチックなテイストを強く感じるボーホースタイルは、NYのソーホーのような都会的でモダンなインテリアに、民族アイテムのようなプリミティブな要素も取り入れたミックススタイルだそうです。

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ボーホースタイルのインテリア例

4.色は価値がある。

自然に色あせたラグやキリム、時間の経過とともに微妙な艶が出てきたラグやキリムには何の問題もありません。
時には、意図的に日光を当てて色を落とし、ラグやキリムを柔らかく、より魅力的に見せることにもラグに対してそれほどはダメージがありません。
しかし、「ヴィンテージラグ」と呼ばれるものの中には、化学薬品を使って意図的に元の色を落とし、流行のパステル調に仕上げているものが多く、今日人気ののミニマルで素朴、ニュートラルなインテリアにマッチするようになっています。

では、なぜこれが問題なのでしょうか?
下のキリムは100年は経っていると思われますが、このオリジナルの素晴らしい色彩が残っています。

昔の遊牧民や村の女性は、その土地の植物や根、花などを使って、持続的で鮮やかな色を作り出していました。さらに重要なことは、ラグに織り込まれたそれぞれの色には象徴的な意味があり、織り手の希望や願いの「物語」を語ると同時に、そのラグが作られた部族や地域を示すものでもありました。

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100~150年前に織られたアナトリアのアンティークキリム

高品質の天然染料は、色あせたり人工的に漂白したりしてぼやけた色を持つよりも、ラグの本質的な価値を高めることができるのです。

5. 機械で作られた「ヴィンテージラグ」のコピー品には注意してください。

しかし、美しいラグやキリムを使って自分の家を個性的に演出することが非常に重要になってきたことに加え、オンラインやインスタグラムで簡単に購入できるようになったことで、機械で作られたレーヨンやビスコース製のコピー商品が家庭用品店やデパート、さらにはこだわりのあるインテリアショップなどで爆発的に売られるようになりました。

見た目は良いかもしれませんが、明らかに安価な代替品であり、良いハンドメイドラグの耐久性や時代を超越した品質はありません。また、ウール、シルク、コットンなどの天然素材を使用し、ポリエステル、レーヨン、ビスコースなどは機械で作られたラグには必ず使用されています。

もちろん、本物のハンドメイドラグはより高価かもしれませんが、良いラグが一生ものであることを考えると、確かに余分なコストをかける価値はあるでしょう。

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ヴィンテージ風機械織のラグ

結論として、伝統的な手織りラグの古い模様や色は非常に美しいものですが、これらの伝統的なスタイルが現代のインテリアデザインに合わないと感じる人もいるでしょう。…そして、多くの意味でそれは悪いことではありません。しかし、質の高い真の「ヴィンテージ・ラグ」は、あなたの家に温もりと質感を与え、価値が上がることも多く、一緒に暮らす喜びを感じさせてくれます。

これらすべてが、あなたの “ヴィンテージ “スタイルを最も美しい方法で定義し、個性化することができるのです。

伝統的なトライバルラグのインテリア

欧米でのインテリアとしての手織り絨毯やキリムの歴史は長く、使い方も洗練されていると感じてきました。
covic-19以降日本でも自粛生活を余儀なくされる人も増え、インテリアへの肝心とともにラグの需要も高まってきているように感じます。
個性的、健康的、楽しく、明るいお家のアイテムとしての手織り絨毯の魅力を多くの方々に知ってほしいと願っています。

参考サイト:https://www.tribalcollectionscarpets.com/

 

執筆者:T.Sakaki