アンティークラグ選びの3つのポイント(プロが選ぶ極意)

Posted by tribe on 2014年10月24日

このところアパレル系セレクトショップ、ラウンジ、カフェなどにトライバルラグを飾っている店舗が増えてきています。中でも本格的で感性の高いショップほど、質や価値の高いラグをセレクトし、効果的でこだわったインテリアレイアウトとして用いていたりします。ユーザの皆さんも、このサイトに訪れる方の中にはそんな雰囲気や、ラグの持つテキスタイルパターンに惹かれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。いつかオークションなどのアンティークマーケットで出品できる様な、稀少性やオリジナリティの高いラグを探していらっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。

もしラグを手に入れるのなら、やはり質の高い本格的なヴィンテージラグを買いたいですよね。
価値のあるラグやキリムを選ぶのには、かなりの知識と経験が必要なイメージがありますが、いくつかのポイントを押さえれば、それほど難しいことではありません。

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オークションハウスでのラグの販売会

まずは個人的に使うために購入するのか、将来はサザビーズなど海外のオークションに出品出来るような、投資的価値を持つものを入手したいかによって、選ぶ基準も変わってきます。

<個人的に使う場合と投資的価値を持つものとして購入する場合の差が、情報としてほとんど紹介されていないように思います。>

もちろん楽しく使いつつ、手放したくなったら価値もつけば言うことなしです。

①【ネット上の写真で選ぶ場合】
最善の方法としては実物を見たり触ったりして選ぶ事ですが、ネットなどでしか選べない状況では、次の点に注意をしていただきたいです。

絵画や服と同じように、実物でしか感じ得ない質感や色、特に手ざわりや使い心地が重要なモノなので、パソコンやスマホの画面では、実物で得られる情報量の半分もないと割りきって選ばれた方がいいでしょう。
その上で選ばれる場合、室内で撮られた写真なのか太陽光などの自然光なのかが重要になります。電灯の色(スポットライト・蛍光灯・白熱灯)や光源の強さによっては、実物からほど遠い見た目になりがちです。

屋外や自然光の中で、色々な角度とサイズで撮影されたものを熟視して、実物の再現性の高いものが、間違いのない購入につながります。

また保存状態についてもしっかり明記されている事も大切です。写真では良く見えないほころび や欠損、実は繋ぎ合わせなどがあって、がっかりしないようにしたいものです。アンティークラグの場合は完全なコンディションであることの方が稀なので「届いてみたら写真と違い、すり切れ感の多いボロボロに近い状態だった・・・。」ということも少なくありません。
逆に細かいほころびやキズについて明記しているところほど、良い状態で保管している場合が多いように感じます。

1.なるべく外の光(自然光)で撮影された写真で紹介されていること。
2.全体と部分がまんべんなく紹介されていること。
3.があること。
4.上下のフリンジ、両脇のセルベッジなどの状態がはっきりとわかるような写真やコメント修復や現状での傷やほころびがあるかが、明記されているか、写真でも詳細が見られること。
5.染料などについては、専門家でも見分けがつきにくいので、草木染めなどと断定されていないこと。
6.絨毯の場合表面と裏面の両サイドの写真が紹介されていること。(結び目の細かさや日焼けなどによる色の違いが確認出来る)

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インターネットによる販売サイトの例

②.【実物を見て選ぶ場合】
もし実物を見る事が出来れば、見た目や触り心地、座り心地など画面上では得られない多くの情報を直に得ることができます。だからこそさらに一歩踏み込んだ、下に加えたいくつかの注意点があげられます。

1.最も大事な素材の羊毛状態をチェックできます。(固さ、光沢、紡ぎ、糸の太さ、毛の色等など)表と裏をも見比べて見る事おすすめします。
2.タテ糸の素材を知る。(木綿、絹、羊毛、山羊毛など)遊牧民の絨毯はタテ糸が羊毛の場合が多いです。最近は木綿糸が使われる事も多くなりましたが、100年を超えるアンティークトライバルラグには羊毛のタテ糸が多く使われています。
3.タテ糸の撚り具合のチェック。(手紡ぎだとオリジナルの可能性が高い)
(手紡ぎ、機械紡績、2本取り、3本取り、単子など)
4.絨毯であればパイルの残り具合をチェック。(古くてもパイルが残っているものほど希少性が高い)
5.修復があるかどうか、またその修復が丁寧にされているかどうか?( 修復箇所の大きさ、目立つかどうか等)
(修復があってもオリジナルの風合いを損ねることなく丁寧にされていればあまり問題はないです)
6.染料が他の部分に移っているかどうか?(白地部分などに濃い色の染料がにじんでいるなどのチェック)
7.表面に.不自然な光沢がある場合パイルの場合表面と奥部分を見比べる。(薬品などで洗って光沢を出す場合がある)日焼けなどによる色の退色も見てみる。
8.タテ糸部分が後から染められた形跡があるかどうか?(古色を出すために、紅茶などで2度染めされる場合があるため)

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テヘランの大絨毯展でのセレクト作業

③.【迷った時は第一印象に戻る】
現地ではオリジナル(コピーでない)で時代を経ていながら、状態の良いもが高い評価を得ています。
あくまでも絨毯や布選びは、初対面の異性に対して感じるファーストインスピレーションと同じで、まずは直感的に「好き」と感じるような主観で選ぶ事が、間違いがないかもしれません。使う場所の大きさなども総合的な判断も必要になるでしょう。

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「丁寧に暮らす」無印良品のポスターに使われたラグ

いずれにしてもキリムやラグは一生物として長く付き合うことになる大切な生活の一部になっていくこともあるので、メンテナンスなども含めて信頼のできるサイトやお店での購入をおすすめします。