大きな誤解?絨毯とハウスダストの関係

Posted by tribe on 2015年2月12日

絨毯と室内環境については度々紹介して行きたいと考えていますが、日本ではこれまでに、本格的な研究がされてこなかったようです。
どちらかというと、誤解を生むような情報や認識不足による誤った風評が伝えられて来たように思います。アメリカやスエーデンなどの最新の研究調査では、室内環境と絨毯の新たな関係が発表されています。それによれば、あまり厚くない敷物を敷くことで、室内におけるハウスダストや微粒子の埃が軽減されることがわかってきています。

ホコリが舞い上がらないキリムやラグの床

フローリングやビニールクロスなどの硬質系床材の場合、せっかく掃除してもしばらくすると、部屋の周りに白いホコリが溜まっていることがあります。
それはホコリやチリが舞い上がりやすい物資で、時間をかけて下に落ちてくるからです。チリやホコリ=ハウスダストには様々な物資が含まれており、
それらがアレルギーなどの症状を引き起こす原因となるようです。薄手のウール製のキリムやラグは羊毛特有の縮れ毛構造が、細かいホコリやダニの死骸などを吸着し空気中に舞い上げる事がありません。一見清潔そうに見える硬質床材ですが、四六時中水拭きなどのクリーンングをしない限り、歩くたびやペットが走り回ったり、エアコンなどの微風などでも、細かいホコリが常に舞い上がり、空気中を漂っている事になります。
微粒のホコリやチリを縮れの中に吸着させる羊毛製敷物は、フローリングなどに比べてはるかに安全な床材といえるでしょう。

浜松水谷邸-213
フローリングに敷かれたキリムと壁に壁にかけられたラオスのテキスタイル

スエーデンの実験で証明された事実

実際にこのような調査報告があります。堀田カーペットという会社のHPからの引用です。
「ヨーッロッパでも同様にダニアレルギー問題がありましたが、スエーデンの例では、1973年から 17年間でカーペットの消費量が3分の1に減ったにもかかわらず、同じ時期にアレルギー患者は3倍に増えてしまいました。その後の追跡調査でカーペット敷きの学校とカーペットを使っていない学校とでは、後者の学校の方がアレルギー患者が多いと判明しました。このようなデーターから現在ではカーペットに対する恐怖症は解消しています。」

堀田カーペット株式会社
堀田カーペット株式会社のホームページ

堀田カーペットのHPから引用

1年に一度で十分?キリムやラグの下の掃除

これまではじゅうたんがカビやダニの温床と言われ続けてきました。実際にアレルギーの専門医などでも、じゅうたんを外すように勧めることがあるようです。衣服やソファのファブリック、カーテン、布団など、繊維質のホコリやチリが室内に溜まることは避けられないと考えられます。そしてそれらは目に見えないほど微粒ですが、時間とともに床に落ちてきます。硬質な床にこそ羊毛製の敷物をおすすめします。とくに裏にラテックス(ゴム)や化学物質の芯が無い手織りのキリムやラグは通気性があるため、暫くすると敷物と床の間にホコリやチリが落ちてゆきます。大掃除の時等ラグをめくると下にたくさんのホコリが落ちていることに驚きます。羊毛の縮れが吸着した微粒子が、その上を歩くことで自然に下に落ちるからです。
そして、そのホコリやチリはは繊維質のキリムやラグを通過して室内に舞い上がることはほとんどありません。時々下に溜まったホコリを水拭き掃除等で、綺麗にすればそれで大丈夫です。
手織りのキリムや薄手のラグは部屋に漂う目に見えないホコリやチリを浄化させる働きがあると言えるでしょう。これまでの常識とは全く違う事実が見えてきます。

DSC_0483_2interior630
フローリングに似合うアフガニスタンの素朴で可愛らしいキリム

新しい床素材としてのフローリング

日本の伝統的な和の家にはその機能に適応した畳という敷物がありました。かつての屋根と柱という通気性を重んじる家から気密性の高く壁と窓の洋風建築への変化して床材も大きく変わりました。この30年間マンションなどの集合住宅も戸建住宅も洋風化が進みました。そこに登場したフローリングという床材はこれまでの通気性よい古民家の床とは違う全く新しい床の登場です。
このフローリング床とうまくつきあっていく事を考えてゆきたいと思います。