アゼルバイジャンに絨毯形デザインの美術館オープン!
Posted by tribe on 2014年10月22日
みなさんは「カスピ海」と聞くとどんなイメージを思い浮かべますか?最近だとコンビニなどでカスピ海産のヨーグルトが流行っているので、もしかするとTVや広告などで雄大で艶のあるカスピ海のイメージ写真など目にしているかもしれませんね。
実はこのカスピ海、ラグ(=絨毯)の文化や研究分野では大変重要な地点として認識されており、このところ天然ガスなど地下資源で急速に豊かになりつつあるカスピ海東西にも、とある大規模予算のプロジェクトが進んでいるのです。
あっと驚く絨毯型の美術館
カスピ海の東と西は大変古くから絨毯文化が栄えた地域で、東側のトルクメン族、西側のコーカサス地方は世界の絨毯研究にとって最重要地域でもあります。また歴史的にも東西文化の交流地点として大きな意味を持っていました。未調査部分もまだ多いようですが、世界第4位の天然ガス埋蔵量を持つといわれるトルクメニスタンは、カスピ海沿岸のアワザ国際特区に、国際会議場やサナトリウムとホテル群、巨大なスポーツ施設などが建築中です。
7月にはウィンドサーフィンの国際大会なども行われました。
それに対抗したわけではないでしょうが、カスピ海の対岸国アゼルバイジャンの都市「バクー」にも、ユニークな形の絨毯博物館が8月26日にオープンしたようです。オーストリア人建築家フランツ・ヤンツ氏のデザインですが超ユニークな建物です。賛否両論あるでしょうが、ともかくこれを作ってしまった事がエライ!!!
日本ではほとんど知られていませんが、アゼルバイジャンの絨毯は2010年に世界文化遺産に登録されています。是非共行って見たいテキスタイル関係の美術館の一つです。
以下はロンドンの絨毯雑誌「HALI」の取材からです。
2014年8月26日アゼルバイジャンのバクーで新しい絨毯博物館の公式オープニングセレモニーが開催されました。会場はカスピ会を望む臨海国立公園で2008年5月から計画されてており、工事には6年を要しました。5階建て構造で絨毯を巻いたようなデザインは、オーストリア人建築家フランツ・ヤンツ氏によって設計されています。当日はイルハム・アリエフ大統領と夫妻と文化官公庁長官のアブルファズ・ガライェフ氏による開館のテープカットが行われました。
美術館のコレクションはクバ、バクー、シルヴァン、カザフ、カラバフとタブリーズ絨毯などの代表的な絨毯とロンドンにあるV&A美術館所有のアルデビル絨毯の復元品や現代のアゼルバイジャンアートなどが展示されています。美術館長のロヤ女史(Roya Tagiyeva)は、”アゼルバイジャンの遺産である伝統織物の将来に信頼を吹き込む出来事である”と、大統領に感謝の意を表明しました。アゼルバイジャンの絨毯文化は 2010年に人類の無形文化遺産のユネスコ代表一覧 追加されましたが、絨毯美術館の開館は、国際的にもアゼルバイジャンの伝統的な織物を実践するためのの中心的な場として共有され、さらに促進されていく事を保証されていると言えるでしょう。
世界遺産に登録されている文化としての絨毯
アゼルバイジャンには世界遺産居登録されているモノや織り方といった技法、その他文化などが多くあることでも有名です。例えば以下のような、アゼルバイジャンの絨毯(+文化)などがそうです。
世界遺産に登録されているアゼルバイジャンの絨毯文化(UNESCO)の紹介文より
アゼルバイジャンの絨毯には、アゼルバイジャンの特徴的文様が絨毯作りの伝統として生かされていますが、パイル織り(絨毯)や幾つかの技法を持つ平織りなど様々なサイズのものに表現されています。カーペット作りは家族間の伝統としてで口伝えに伝承されてきました。
男達は春と秋に毛を刈り、女性達は春と夏、秋を通して糸を紡ぎ、色を染めます。絨毯織りは主に女性達の仕事ですが、女の子達は母親や祖母、嫁は義理の母と共に冬の間に行われます。絨毯織りは通常草木染の糸を使用し、シルクや木綿そして羊毛の糸用いて水平機や垂直機の機で行われます。
パイル織りの絨毯には特別な技法が適用されていますが、織り手はタテ糸の回りにパイル糸を結びつけます、また平織りはタテ糸に色々な方法でヨコ糸を交差させる事で柄を作ります。
織り上がった絨毯を織り機から切り離す時は厳粛な儀式のようです。絨毯織りとは密接な地域社会と関係や日々の生活や習慣と身近に関わっていて、その役割はかれらのアプリケーションや文様の意味に反映されており、絨毯に座った少女がノウルーズ(正月)に未来を占ったり、伝統的な歌を歌います。このように絨毯は広く家庭用の敷物や装飾品として使用されますが、特別な絨毯は結婚式、子供の誕生、葬式などの儀礼や病気の治療などのために織られています。