止まった資本主義? (自然の中の人間)アフターコロナを考える2.

Posted by tribe on 2020年5月13日

YouTubeを見ていたら、現在の状況の中で大変に不謹慎な話ですが、今一番喜んでいるのは私たちを取り巻く「自然」ではないか?という賢者の意見がありました。
東京はそれなりに社会が動いているのでさほど変化は感じませんが、ロックダウンの続く世界各地では自然環境に少しづつ変化が出てきているというニュースを目にします。
ちょうど読んでいたのが「自然を前にした人間の哲学」というタイトルで、日本では数少ないな絨毯研究者の鎌田由美子さんの論考が掲載されている本でした。

この本には「古代から現在にかけての12の問いかけ」というサブタイトルがついていて、古代ギリシャ哲学から中世ヨーロッパ、そして近代に至る人と自然との関わりを掘り下げています。
人間と自然、近代で言いえばテクノロジーの発達と環境問題という、現在起きている様々なことについての問題提起とソリューションを提示してくれています。
今起きている事は、行き過ぎた人間の欲望を満たすための経済成長重視の資本主義の激流を一度止めて、「私たちはこれからどこへ向かうのか?」
を見直す自然からの教訓として私たちの前に起った事とも考えられます。

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「自然を前にした人間の哲学」~古代から現在にかけての12の問いかけ~

前回紹介した、NHKの「欲望の資本主義のシリーズ」にもこのよう状況がいつ起きてもおかしくないこと、また起こるべくして起こった状況であることを伝えていました。
言い換えれば今回のような世界同時危機とは、これまで走り続けてきた「資本主義」という社会システムが一時的に止まった状態にあるとも言えるでしょう。
一度立ち止まって、私たちの進む未来のことを考えるタイミングを、目に見えない大いなる存在が用意したのではないかとも思えてきます。

人類の歴史、社会、経済、哲学、政治、文化人類学、占星術などなど多方面の賢者のメッセージを今こそ聞く必要があると思います。
今回の危機によって自分自身も含めて、たくさんのことを考える時間が出来ました。

自然の中の人間

私たちは空気(大気)がなければ数分しか生きることは出来ません。
これは小学生でも知っていることですが、ではその空気は誰が作っているのか?
これは「空気を読む」の空気ではありません笑。
空気や水がどうしてこの地球上に存在しているのか?それについてはあまり考えることも無いように思います。
あまりに当たり前過ぎるのですが、これは地球という惑星にいくつもの偶然が重なって大気が生まれ、私たちが存在していることに他ならないと思います。
大気だけでなく、水、火、土、植物、鉱物、生物などどれ一つなくても人間は生きてくことは難しいでしょう。
そのほとんどを自然に依存しているにも関わらず、日々それらに感謝することを忘れていることに気がつきます。
自然に生かされているのに、ついついその真実を忘れてしまうのです。

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「生態系存在論序説」&「イエスと親鸞」 八木雄二著

八木雄二氏という哲学者の自然と人間の関係を説いた「生態系存在論序説」という本に、発想の逆転とも言うべき斬新な視点による考察が述べられいます。
簡単に言うと「人類の発祥と進化は植物の生存のためにもたらされた」と言うのです。
30年に渡る環境保護活動と哲学研究の経験と探究からの視点は、人類の出現と発達は「生態系の管理」という役割という意味合いがあり、自然災害などで引き起こされる「環境修復作業」を担うためにあるのではないか?という目から鱗の洞察です。
もし明日、植物が地上から消えてしまったら?人と動物の生活は数週間、頑張っても数ヶ月しかもたいなでしょう。

ところが我々が姿を消しても植物は消えるどころか、これまで奪われていた領土をわずか数年で取り戻すでしょう。これは今回のショックでわずか2ヶ月で変化したことでもわかります。

生物学的にみても、地球上の生物量(バイオマス)のうち、動物と植物を取り出して比較すると植物が99.5%以上を占めているそうです。
私たちの「食」をとってみてもその中心は穀物、豆、イモなどの植物由来で肉や魚にしても多くは植物やプランクトンから栄養をとって成長した生き物ということになります。

八木氏はさらに植物は太陽光から光合成によって成長する自己養生生物であり、大気の中の二酸化炭素を減少させ、温度を低く保っているのと同時に地上に降った水分を
その根を通じて地中に誘導し水分の蒸発を防いでいると言っています。
植物が「空気」と「水」という生物に必要不可欠なエレメントを提供してくれているのです。

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植物に生かされていたと言う大型草食恐竜

今回のコロナ危機にも生態系と自然環境の問題は少なからず関係していると考えています。個人的な妄想ですが、アメリカと中国の対立でアメリカからの食糧が輸入制限されたことで、アマゾンの森林を焼き食物生産のための耕作地に変える動きが加速していました。
多くの先住民の土地が消失したニュースを目にして、これは大変なことになるかもしれないという危機を感じました。
これによって地球全体を支えてきた大アマゾンの植物生態系の大幅な喪失が人為的に行われてしまっています。ブラジルの現大統領がそれを加速させているそうです。
八木先生の「生態系存在論」でも巨大恐竜が滅んだ原因は隕石の落下だけでなく、それ以前に巨大化した植物の枝先を大量に食べて、植物を有効化していた大型恐竜のお陰で酸素が増え気温が下がり、樹木がダウンサイジングされたことが、皮肉にも大量の植物が必要な巨大草食恐竜が減少した原因になったのではと推察されています。
植物にとってそれまで必要だった大型恐竜が不必要になってしまったとも考えられます。

まさに現代における人類が行っている行為に共通し、植物にとって私達がお払い箱にされる日が来るのではないかと危惧してしまいます。

植物は知っている。

数年前に読んだ本で「植物は<知性>を持っている」という本を思い出しました。
多くの世界創造神話や「聖書」に人間は最も優れた動物であり、生物界の頂点にある。特に一神教を信じる人達の間で「人間第一主義」が信仰されてきました。
植物は動物、魚、鳥、昆虫などよりも低い存在と考えられて来たようです。それは自ら「動かない」ということが原因であり鉱物に近いと考えられる節もあったようです。
ところがこの本では植物は動けないからこそ、独自の「社会」を築きここまで地球上で繁栄してきたと言うのです。ただ動きが遅いのでそれに気づきにくいと言うことが繰り返し言われています。
先日TVで今回のコロナ危機にどう対処していたのかを、欧米やアジアなどの個人のお家の日常を取材したドキュメンタリー番組がありました。
ほぼ2ヶ月間自宅に閉じ込められたスペイン人の家族の場面で、中学生の男の子がやっと外出許可が出て家の外に出た途端、家の前の通りの並木の成長に驚いていました。
毎日見ていると気がつきにくい樹の成長ですが、2ヶ月の間に生い茂った新緑の青々とした葉を見たとたんに思わず声をあげたのが印象的でした。
ゆっくりではありますが、確実に動いているのが植物です。庭いじりや観葉植物が好きな方々はよくよくご存知の事実と思います。
繰り返しになりますが、空気、食物、そして古代の植物や微生物の化石から抽出される化石燃料によるエネルギーも植物がなくては成り立ちませんでした。
今こそ植物を含む自然環境を見直し、感謝するタイミングかと思います。

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「植物は<知性>を持っている」

厳しい状況ではありますが、今回の危機的状況は見方を変えれば、私たちにも新しい流れを生み出す一度チャンスが与えられたという事に他ならないと思います。
欲望のままに経済効率を追求し、全てを市場原理に委ねたことで起こっている、分断化つつある社会へ逆戻りするのか?
私たちを生かしてくれている自然と共存して、未来の子供達にもこの素晴らしい自然環境を残すのか?
今こそ私たちが試されている気がしてなりません。
さらに日本は里山文化に代表されるように、つい最近まで自然環境と人の営みを上手く折り合いをつけながら近代化することができた稀有な民族でもあります。
世界の賢者も指摘するように、これから先の世界をリードできる潜在性を秘めているとも思われます。
この文明化社会を根本から見直すためには何が必要なのか?
興味深い書籍やこれから先を生き抜くための思考などを少しづつ紹介していきたいと思っています。

参考文献:「自然を前にした人間の哲学」~古代から現在にかけての12の問いかけ~ 
神崎忠昭・野元晋編 慶應義塾大学言語文化研究所
「生態系存在論」八木雄二著 
「植物は<知性>を持っている」
ステファノ・マンクーゾ、アレッサンドラ・ヴィオラ、マイケル・ポーラン著 
久保耕司翻訳
参考映像:NHK BS1スペシャル「市民が見た世界のコロナショック 4月編」