アフターコロナをどう考えるか?vol.1

Posted by tribe on 2020年4月26日

絨毯屋のブログですが、ここ数週間家に籠もっているので、TVを見る機会も増えました。とても刺激を受けた番組があり絨毯とは直接関係ないのですが、不安が続くこの時期なので、思ったことを記してみたくなりました。

4月15日に放映された、BS1スペシャルシリーズ コロナ危機 「グローバル経済 複雑性への挑戦」(前編:後編)という番組です。
この番組は2018年1月3日から始まった同じBS1スペシャルシリーズの「欲望の資本主義2018~闇の力が目覚める時~」からの流れで、全10回を超える長編の企画番組です。
行き詰まった資本主義は私たち人類の欲望をどこまで叶えられるのか?「格差」と「分断」が進む中、私たちはどこに向かおうとしているのか?

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BS1スペシャル欲望の資本主義

GAFAはなんでも知っている?!

現代の「知」のフロントランナー達が語る興味深い内容です。
中でもチェコ異端の奇才と呼ばれる経済学者のトーマス・セドラチェク氏とドイツの気鋭の哲学者マルクス・ガブリエル氏の二人の考察は心に刺さるものでした。
今回のコロナ危機「グローバル経済 複雑性への挑戦」ではこの二人はもちろん、ノーベル賞受賞歴のある大御所経済学者のジョセフ・スティグリッツ氏やインド人でニューヨークで活躍するストラデジスであるルチル・シャルマ氏など新旧の経済分析の大物を交えた豪華な出演者でした。
今ではドイツのGDPを超える規模を持つGAFAは、まさに今の資本主義を代表する企業ですが、私たちはこのGAFAに知らず知らずのうちに使われているという、ドイツ人哲学者マルクス・ガブリエル氏の話は目から鱗の話でした。

確かに自分自身も含め、日々FACEBOOKやINSTAGLAMなどに何も考えずに投稿してきました。
海外やみんなが知らない穴場へ行った時は、得意げに写真や情報をアップしています。もちろん無償で(笑)
もしメディアがこれと同じ取材をするにはスタッフの人件費から旅費まで、相当な経費が必要になるでしょう。確かに個人的には、ビジネス上の広報に繋がることも大きいのですが、実際のところその効果は不確かです。
それに対してそれらの企業は間違いなく、無料の情報として私たちが投稿するストーリーを有効利用している事でしょう。世界各地の億単位の人々から膨大なデータを24時間絶え間なく入手している筈です。
前回のアメリカ大統領選挙の際には個人データを悪用した事件もおきました。

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マルクス・ガブリエル氏

マルクス・ガブリエル氏はさらに過激にGAFAを批判しています。これからますますオンライン化が進みそうなので、時代と逆行するようですが、SNSの無防備な利用は少し考える必要がありそうです。
現在のところ、中国や北朝鮮などの全体主義的な国と共に、個人情報収集能力では圧倒的なパワーを持つGAFAは、今回のコロナ危機に際して、政府や治安関係者にどのような情報提供をしているのかも気になるところです。
そして今は世界中の政府が、間違いなく個人情報の収集に必死になっていると思われます。

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コロナ危機 「グローバル経済 複雑性への挑戦」

前置きが長くなったしまいましたが、私達の属する資本主義社会はアフターコロナの時代にどのようになってしまうのか?
上で紹介した知の巨人達の考察をまとめてみたいと思いました。

アフターコロナはどうなるのか?

私たちは今、これまでに経験したことの無いような大きな変化の中に突入しつつあるようです。
未曾有のパラダイムシフトなどとも言い換えられるかもしれませんが、昨年までは世界中の多くの人たちが予想していなかったことが現実化しています。
何人かの優れた知識人達は数年前からこのような事態が来ることを予測していたようですが、現実に起こってみるとあまりの広がりの速さに予想を覆されたと発言しています。

この事態をあたかも戦争のようだとして感染症との「戦い」だと国民を煽る大国の大統領や首相、一方でこれは人類より遥かに古い歴史を持つウィルスとの智恵比べで、今後もウィルスと共存していかなければならないとう考えのもと、「withコロナ」の時代が来ていると言う学者とに意見がわかれ始めているように思われます。
ただこの2ヶ月あまりの世界の状況を鑑みると、どう見ても長期的な視野を持って対処しいく必要があると感じられます。
皮肉なことに日本でも現在の自粛要請という状況では、家の中から様々な観点で、このウィルスの現状とその後に何が来るのか?「アフターコロナ」をじっくり考える時間はありそうです。

4月に入ってから様々なメディアで、今後世の中がどう変化していくのかということを伝える情報が発信され始めています。
経済、政治、免疫学、社会、宗教、心理、環境など現代社会を構成する科学と文化の専門家達からの提言です。
先に紹介した2018年から放映されていた「欲望の資本主義」シリーズに出演していた世界の知識人の言う「不確実性」・「複雑性」の時代の到来が実際に来てしまったと言いかえられるかもしれません。
資本主義の抱える根源的な不安定性と不確実性に警鐘を鳴らしてきた研究者の話を聞くのは、夜の大海原に投げ出されたような私達の不安定な将来の暮らしに、遠くから光を照らしてくれているようにも思えます。

番組の最後に、大好きなチェコ人の経済学者トーマス・セドラチェク氏が「今は携帯もネットも無い山の上の小さな小屋で、家族や仲の良い仲間達と焚き火を囲みながら、寄り添うのが良いかもしれない?」と言ったのが印象的でした。
知の巨人達が共通して、ビフォアーコロナ、アフターコロナでは世界が一変するだろう!経済、社会ともにこれまでとは違う世の中になるだろうと発言しています。
結論から言えば、今後の不安定な未来がどうなるかは、今の一人一人の考え、行動にかかっていると言うことです。各々が慌てず、騒がず、科学的な根拠のある情報を集め、大人な態度で前向きに今の現状を受け止めていくことだと。。。

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トーマス・セドラチェク氏

では具体的にはどのようにすれば良いのか?、おそらくこれからたくさんの専門家やインフルエンサーがメディアやSNSで様々な意見を発信していくことになるでしょう。

予言されていたコロナ危機

実は今回の危機を随分前から予想していた人達が居ます。フランスの経済学者、ジャック・アタリ氏もその一人です。 EUを立ち上げる際の立役者の一人でもあるアタリ氏は10年以上前からこのようなパンデミックが起こり得ることを予測していました。NHKのETV特集 「緊急対談 パンデミックが変える世界 ~海外の知性が語る展望~」にも出演していました。

また日本人の科学哲学者広井良典氏も20年以上前から、現在の生産過剰な経済成長を盲目に目指す社会に警鐘を鳴らし続けて来られました。
経済成長だけではない、成熟した社会を目指す「定常化社会」や、「創造的福祉社会」という広井先生の日本の現状に即した具体的な考えには感銘を受けました。
その中で繰り返し、我々人類はすでにポスト資本主義の段階に来ていて、市場の拡大と成長が終焉する定常化社会に入っている、それには『倫理の再内部化』、地域社会との連帯、利他主義的価値観を持つ必要があると述べられています。

20万年続いた我々の祖先であるホモサピエンスには大きな3つの変革期があり、一つ目はおよそ5万年前の「心のビッグバン」と呼ばれる広義の芸術性や象徴的思考を始めた時代(世界共通する洞窟壁画など)、二つ目は約2500年前の枢軸時代、普遍的な宗教の発祥(旧約聖書、仏教、儒教、ギリシャ哲学のなどが生まれた時期)、そして現代がまさに三つ目の大きな変革期に来ているのではないかということを予測されていました。全人類に対しての巨視的な変革期の到来が来ることの提言です。心のビックバン期は文様の発祥と関係が深く、色々な場面で引用させてもらいました。

アフターコロナに対するには、「私たちはどのような時代を生きているのか?」を知ることから始めるのが良さそうですが、広井氏の考えはそのヒントになる具体的なアイデアと方法が満載です。
このブログでも引き続いて紹介して行きたいと思います。

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広井良介氏

宇宙的な視野もありかも?

話は飛躍しますが、占星術の世界でもこのような大転換期が来ることを予測していた人達がたくさんいます。スピリチュアル系かと苦手意識をお持ちの方も多いかと思いますが、今回の未曾有の変化はしれば知るほど占星術的な大転換期とシンクロしています。
現在起きている大転換期は、2000年単位で起きる移行期でこれまでの魚座時代から水瓶座の時代に入るというものです。
詳しくはそれ系のサイトでたくさんの情報があるのでここでは触れませんが、新型コロナウィルス(covidー19)が発見された、2019年の12月からスタートしているグレートコンジャンクション〜地の時代から風の時代へ〜という星の動きを知れば知るほど、現在の状況とリンクしているように思えます。
今後は2020年12月22日に起こる木星と土星がぴったり重なる現象(グレートコンジャンクション)を経て時代は大きく変わっていくそうです。
ここでも一人一人、個人個人の平等な関係性が大切であるとされています。
あまりスピリチュアリティーに傾きすぎるのも地から足が離れてしまいそうですが、今起こっていることも宇宙規模の大きな流れの中での必然かと思うことで、少し気分が軽くなるような気もします。

現実を見ると、この1ヶ月全く収入がなく(自分もそうですが)、これから先どうなるのか? 終息までの流れが見えない中で不安が続いている人は多いと思います。
ただ今こそ現状を冷静に分析し、どうしてこうなったのか?この危機を乗り越えるための方法はないのか?を一人一人が考える時間を与えられているような気がしています。
今は大洪水の真っ只中ですが、歴史学、経済学、政治学、哲学、社会学、宗教学、科学と占星術や東洋的な叡智も含めた「知」は、今しばらくを乗り越える荒波に漂う目印になり得るかもしれません。

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今後もトライバルラグや先住民の手仕事に含まれるセンスや精神性とも関連させながら、知の巨人達の叡智を紹介してゆきたいと思っています。

参考資料:
BS1スペシャル 「欲望の資本主義2018~闇の力が目覚める時~」(前編)
BS1スペシャル 「欲望の資本主義2018~闇の力が目覚める時~」(後編)
BS1スペシャル 「欲望の資本主義2019~偽りの個人主義を越えて~」 (前編)
BS1スペシャル 「欲望の資本主義2019~偽りの個人主義を越えて~」 (後編)
BS1スペシャル 「欲望の資本主義2020~日本・不確実性への挑戦~」(前編)
BS1スペシャル 「欲望の資本主義特別編 欲望の貨幣論2019」(前編)
BS1スペシャル 「欲望の資本主義特別編 欲望の貨幣論2019」(後編)
BS1スペシャル シリーズコロナ危機「グローバル経済 複雑性への挑戦」<前編>
BS1スペシャル シリーズコロナ危機「グローバル経済 複雑性への挑戦」<後編>
「定常型社会」広井良典著 
「創造的福祉社会」広井良典著 

参考サイト:
「小商のすすめ」~コロナ禍の中で経済を動かすには~vol4. tribe-log.com
コロナ禍の中で経済を動かすには!持続可能な社会 その3 tribe-log.com
止まった資本主義? (自然の中の人間)アフターコロナを考える2. tribe-log.com